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副鼻腔炎

副鼻腔炎とは

鼻腔の炎症が鼻腔を取り囲む副鼻腔(上顎洞(じょうがくどう)、篩骨洞(しこつどう)、蝶形洞(ちょうけいどう)、前頭洞(ぜんとうどう))にまで波及し、粘膜がはれたり、分泌物の貯留などが起こっている状態を言います。


(参考 図1)

副鼻腔炎の種類と原因

A.急性副鼻腔炎

風邪の後に、鼻腔の炎症が副鼻腔まで及び、細菌感染のため、鼻づまり、膿(うみ)のような鼻水、頬・歯・目の周囲の痛みなどの症状を呈します。
発症してから4週間以内の副鼻腔炎を急性と定義しています。
上気道や鼻腔の急性炎症(とくにウイルス感染)の合併症として現れることが多く、かぜで弱った粘膜に細菌感染が起こり副鼻腔にまで侵入し、そこに急性の炎症を起こし副鼻腔内に膿がたまります。

急性副鼻腔炎の原因となる菌は、肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌、モラクセラ・カタラーリス菌などです。
鼻中隔弯曲症、肥厚性鼻炎など、解剖学的な要因によっても急性副鼻腔炎が生じやすくなります。

 

B.歯性上顎洞炎

歯からの感染が原因で起きる上顎洞炎は「歯性上顎洞炎」と呼ばれ、虫歯の歯根に生じた感染が上顎洞に及んだものです。
また、抜歯の際に生じることもあります。
鼻内、上顎洞に対する治療に加え、歯科治療が必要となります。

C.慢性副鼻腔炎

慢性副鼻腔炎は、従来「蓄膿症(ちくのうしょう)」と呼ばれていた病気で、急性副鼻腔炎の治癒が治らず、慢性的に副鼻腔に膿がたまる状態です。

慢性副鼻腔炎では鼻水に膿が混じり、粘りが強くなる、鼻が詰まる、嗅覚が低下する、頭の前や目の奥が重く感じるなどの症状が出る場合があります。
9割が、風邪などのウイルスや細菌が原因です。
慢性炎症により、はれた粘膜の一部がきのこのようにとび出して、鼻のポリープ(はなたけ)ができることがあります。

D.好酸球性副鼻腔炎

気管支喘息を持っている成人に認められる慢性副鼻腔炎として、好酸球性副鼻腔炎があります。
難治性の副鼻腔炎の30~40%を占めています。
基本的にアレルギーが原因であり、副鼻腔の粘膜に白血球の一種である「好酸球」が増えるため、好酸球が組織を障害する物質を出して症状を引き起こすとされています。

鼻ポリープのために嗅覚障害を伴うことが多く、血中と鼻粘膜に多数の好酸球増加を認めます。
抗菌薬のマクロライド療法では治りにくく、さらに、副鼻腔手術では再発も多く、なかなか厄介な副鼻腔炎です。
ただし、ステロイドの内服に良く反応して改善することが特徴です。

副鼻腔炎の症状

急性副鼻腔炎

風邪の合併症としてよく見られます。
最初は水のようだった鼻水が膿性(のうせい)に変わり、臭いのある膿性の鼻水と痛みを訴えます。
痛みの場所は炎症があらわれる副鼻腔によって異なり、上顎洞では頬や歯の痛み、篩骨洞(しこつどう)では目の痛み、前頭洞では額(ひたい)の痛み、蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)では頭痛や頭重感となります。
炎症がひどくなると、顔が赤くなったりはれたり、場合によっては目が見えにくくなる・眼球の運動障害、頭蓋内合併症(脳膿瘍・髄膜炎)による意識障害などが生じる可能性もあります。

慢性副鼻腔炎

鼻水が多い、鼻がつまる、鼻水がのどにおりてくる、などが主な症状です。
鼻がつまる結果、口呼吸やいびきなどの症状も伴います。
急性副鼻腔炎ほど激しい症状はありませんが、膿の混じった鼻水、鼻づまり、鼻水がのどにおりることが続くようになり頭が重い感じ、嗅覚障害、口呼吸、いびきなどの症状が持続し、集中力、性格などに影響を及ぼす可能性もあります。

副鼻腔炎の診断

まず鼻鏡検査で粘膜のはれの状態、鼻ポリープの有無、鼻水の性質、量、鼻水が喉におりているかなどを観察します。
次いで、副鼻腔のX線単純撮影あるいはCTスキャンで画像診断を行います。
CTの方が精密に副鼻腔内の貯留液や粘膜のはれの様子を調べることができます。
MRIも貯留液の性状や粘膜の浮腫の状態の確認、腫瘍との鑑別に有用です。
膿性の鼻水を認める場合は、鼻水の細菌培養同定検査と細菌薬剤感受性検査も行います。

人間ドックなどで、無症状であるにも関わらず、CTやMRIで上顎洞の底に丸い陰影が見られることがあります。
これは、歯根部の軽い炎症があるために、すぐn上にある上顎洞の底部に粘膜のはれが起こっているためと考えられます。
症状に応じて治療の対象となります。

以前はまず単純X-Pを撮影し、必要例にCTスキャンを実施していましたが、最近は、①被爆量の少ないCT装置が出回ってきた事、②単純X-Pに比べて格段に情報量が多い事などにより、最初からCTスキャンを実施するのが一般的です。

副鼻腔炎の薬物治療

急性副鼻腔炎

セフェム系抗生剤やニューキノロン系の抗生剤が用いられます。

慢性副鼻腔炎

長期の内服が必要となるので、マクロライド系抗生物質製剤と気道粘液調整・粘膜正常化剤であるカルボシステイン(主な商品名ムコダイン錠)が用いられます。

好酸球性副鼻腔炎

ステロイド剤や抗アレルギー剤(商品名オノン)などが用いられます。
手術によって治療しても鼻のポリープが再発した場合には、後述の商品名デュピクセント皮下注が適応となります。
高額ですので、厚生労働省による指定難病の証明書が必要です。

副鼻腔炎の局所的療法

副鼻腔自然口開大処置や抗生剤やステロイド剤を粒子で吸い込むネブライザー療法が一般的です。

副鼻腔炎の注射薬治療

商品名デュピクセント皮下注300mgは鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎で施設要件と、難治性かつ重症であることなどの要件の詳記が必要です。

副鼻腔炎の外科的治療

鼻ポリープが鼻腔内に充満したり、副鼻腔粘膜のはれが不可逆的となったりして保存的治療の効果が望めない場合は手術的治療の対象となります。
各副鼻腔のどこに病変があるかで手術法が異なりますが、全ての副鼻腔に病変が及んだ場合は汎(はん)副鼻腔炎と呼ばれ、すべての副鼻腔を開放する副鼻腔内視鏡手術が行われます。
これは原則的に全身麻酔で行われますので、基本的に関連病院へのご紹介し、入院治療が必要となります。

文責 熊川孝三 Kumakawa Kozo M.D.,Ph.D.
耳鼻咽喉科専門医・指導医

日本耳鼻咽喉科学会認定専門医
日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医
昭和大学医学部耳鼻咽喉科客員教授
日本演奏芸術医学研究会理事

虎の門病院耳鼻咽喉科にて人工内耳・耳硬化症をはじめとする数多くの手術を施行。
また日本初の聴性脳幹インプラントに成功。
虎の門病院耳鼻咽喉科部長・聴覚センター長を退任後、現在、赤坂虎の門クリニック耳鼻科部長。
2023年3つの診療科が協力して頭痛診療をするお茶の水頭痛めまいクリニック顧問に就任。

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